FX(外国為替取引)では、レバレッジを利用して取引が出来ます。
巷でよく聞く「FXで○○万円勝った」という話では、このレバレッジ取引を利用している場合がほとんどです。
FXで儲かるためにはぜひ利用したい機能ですが、一方でメリットとデメリットも存在し、理解しておかなければ想定外の不利益を受ける可能性もあります。
今回はfxのレバレッジの仕組みを解説します。仕組みを理解すれば、よりリスクをとる行動も取れるようになります。
目次
FXでよく聞くレバレッジとは?

FXのレバレッジ取引を解説します。
レバレッジの意味は?
FXでよく聞くレバレッジとは「てこの原理」という意味で説明されています。
小さな力で、大きなものを動かす「てこ」のイメージは、レバレッジの性質をよく表していると言えます。
レバレッジでは、証拠金を担保にして元手の何十倍もの資金取引が可能です。
つまり、金融業者に20万円の証拠金を担保として預ければ、元手では出来ない200万円の運用もできる事です。
株式の信用取引やオプション取引と基本的なルールは似ており、設定されている証拠金額さえ割らなければ、自己資金の制約が和らげられるのです。
なぜこのような取引が可能かというと、差金決済という取引を利用するためです。
差金決済とは、取引において現金・現物の受け渡しをせず、反対売買時に買付代金と売却代金の差額を利益にする制度です。
たとえば、買付時に1ドル=100円だった為替が、売付時に1ドル=110円になっていた場合、差額の10円が利益となります。
100万円分購入した場合、10万円の利益が生じるという事です。
レバレッジを使えば実質的に元本以上の資金を運用できるため、より大きな儲けを期待できます。
少ない資金からでも始められる?
FXは少ない資金からでも始められます。
レバレッジを使えば自己資金を超える金額の金融商品を取引できるので、選択範囲が大きく広がります。
国内業者を利用したレバレッジ取引では、2011年より証拠金に対して最大25倍までの取引が可能です。
つまり、例えば資金が10万円ならば、250万円まで運用できます。
少額から始められる投資として、FXは初心者でも活用しやすいものとなっています。
レバレッジのメリット

レバレッジ取引にはメリットが存在します。
以下で、主なメリットを紹介します。
少ない資金でも大きなリターンを望める
大きなメリットとして、少ない資金でも大きなリターンを望める点が挙げられます。
レバレッジなしの運用と、レバレッジありの運用ではリターンについて大きな差が生じます。
例えば、10万円の資金を運用した場合です。
レバレッジは10倍とし、レバレッジなし時には1,000ドルの運用、レバレッジあり時には10,000ドルの運用が可能です。
買付時1ドル=100円、売付時1ドル=105円と為替が動いた場合、以下のような差生じます。
- レバレッジなし…売付時(105円×1,000ドル)-買付時(100円×1,000ドル)=1,050ドル-1,000ドル=50
つまり差額は50ドルです。 日本円では、5,000円の利益となります。
- レバレッジあり…売付時(105円×10,000ドル)―買付時(100円×10,000ドル)=1,0500ドル-1,0000ドル=500
つまり差額は500ドルです。 日本円では、5万円の利益となります。
このように、レバレッジをかける大きさを調整すれば少ない資産でもより大きなリターンが狙う事ができます。
少額からでも始められる
FXは少額からでも始められる特徴があります。
国内は規制により最大25倍までのレバレッジが利用できます。為替が1ドル=100円ならば、4円の必要証拠金さえあれば開始できます。
株式、先物、指数取引などは、始める際に比較的高額の元本が必要ですが、FXのレバレッジ取引ではごく僅かな資金から始められます。これは大きなメリットと言えます。
この特徴から、初心者が相場に慣れる方法としても活用できます。
例えばレバレッジ1倍、10円が元手という少額投資ならば、大きく負けるリスクを抑えながら相場を体験する事が可能です。
相場への参入しやすさも、初心者にとって魅力的ですね。
レバレッジのデメリット

一方でレバレッジ取引にはデメリットも存在します。
レバレッジの危険性
レバレッジの危険性として、大きな損失を被る可能性が挙げられます。
少ない資金で大きなリターンを望める反面、予期せぬ相場の変動時には大きな損失が生じます。
例えば、10万円の資金運用を以下の場合で比較してみます。
- レバレッジなし
- レバレッジ10倍
- レバレッジ20倍
相場は買付時1ドル=100円から、売付時1ドル=95円に減価したとします。以下が各ケースでの損失です。
- 売付時(95円×1,000ドル)―買付時(100円×1,000ドル)=950ドルー1,000ドル=―50ドル 日本円で5,000円の損失
- 売付時(95円×10,000ドル)―買付時(100円×10,000ドル)=9,500ドルー10,000ドル=―500ドル 日本円で5万円の損失
- 売付時(95円×20,000ドル)―買付時(100円×20,000ドル)=19,000ドルー20,000ドル=―1,000ドル 日本円で10万円の損失
レバレッジ | 売付額(ドル) | 買付額(ドル) | 為替差(ドル) | 損失額 |
---|---|---|---|---|
なし | 95,000 | 100,000 | -50 | -5,000円 |
10倍 | 950,000 | 1,000,000 | -500 | -5万円 |
20倍 | 190,000 | 2,000,000 | -1,000 | -10万円 |
レバレッジなしの取引では損失が元本以内に限定されますが、レバレッジありでは元本以上の損失を受ける危険性が生じます。
今回のケースでレバレッジ最大25倍をかけた場合、元本を下回る事にもなります。
儲ける可能性がある反面、よりハイリスクな投資といえます。
追証の危険性がある
レバレッジを利用する場合は、相場の変動による追証が生じる危険性があります。
追証とは、最低保証金維持率を下回る状態を指します。最低でも常に保証金を維持しなければ、金融業者から不足した金額を入金するように促されます。
追証を解消しなければ、強制決済(ロスカット)により損失が確定する場合もあります。
レバレッジでは元本の最大25倍まで運用できる一方、最低保証金維持率(4%)を下回った場合の追証についても理解してから投資をしましょう。
リスクが高いということ

相場では、リスクの高い状況に直面する事がよくあります。。
リスクに直面した時の対処法を知っていれば、不測の事態にも対応する事ができます。
以下ではリスクとの上手な付き合い方を紹介します。
リスクとは何かという事を理解する
不測の事態に冷静な対応をするには、リスクとは何かを理解する必要があります。
「リスク」という言葉は、ネガティブなイメージを持つ方が多いです。
しかし、投資において「リスク」とは、利用できればより大きな儲けが期待できる要素でもあります。
不安定な情勢で大きく投資をした人が、大きな利益を上げる事が多々あります。
つまり、リスクを選んで行動する事も、投資の世界では正しい行動の一つという事です。
より重要なのは、リスクの正体を見極め、自在に投資で役立てられるかどうかです。
リスクとの向き合い方を決める
本来的には、どんな投資法にもリスクは存在します。
投機的な手法か、保守的な資産運用をするのか、自分の選んだ手法が、どの程度のリスクを内包しているかを理解することが大切です。
また、相場では完全に予測不可能なリスクも存在します。
天災、国家・政局の不安定(カントリーリスク)、戦争など、情勢の不安定さは金融商品の動きに大きく影響します。
これら何が起こるか分からない事=不確実性が相場からなくなる事は絶対にあり得ません。
どんな手法、相場でもリスクを排除できない以上、自分なりのリスクとの向き合い方を決める事が大切です。
リスクがある状況のメリットとデメリットを理解すれば、より儲けるチャンスに繋げる事ができるでしょう。
レバレッジを武器にするために必要な考え方

これまでお伝えしたように、リスクは上手く利用できればより儲けるための武器になります。
このような、リスクを利用して儲けようという投資家はリスク選好投資家とも言われ、レバレッジ取引との相性が良いとされます。
FXのレバレッジ取引で儲けるためには、リスクとの上手な付き合い方を学び、相場の動きに対応していくことです。
そのためにも、自己の資産管理を徹底するべきです。
全資産中どれくらいの割合をFXなどリスク資産に向けるかを考えてみましょう。
FXなど金融資産は価格の変動が激しく、全資産を投資するリスクは選ぶべきではありません。
有名な運用バイブル投資苑の著者アレキサンダー・エルダーは、総資産の2%までをリスク資産に投資して良いと提唱しています。
とても守備的な考えですが、相場の値動きは不確実な事が多いと理解するべきです。
FXのレバレッジ取引は、より大きく儲ける手段となり得ますが、個人には大きすぎる損失を被る危険もあります。
損失を被った時のために、追証に対応できる余力を残しておくことが大切です。
ぜひレバレッジ取引を利用する際は、守備的な考えを取り入れましょう。資金さえ残れば、何度でも儲けるチャンスがありますよ。
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記事内の情報は2019/09/24時点のものです
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