近年では平均寿命や高齢者の健康寿命が延びたこともあり、定年を迎えても働き続ける方が増えてきています。
働いているときであれば毎月の給与があるため、日々の生活にそれほど困る事はありません。しかし、定年を迎えると給与はなくなり、預貯金や年金で生活することになります。そういった場合に必要な資金について解説します。
老後の生活費は月29万円!

定年は60歳の会社が多いですが、65歳(公的年金の受給開始)までは再就職などして働くと仮定とすると、65歳の公的年金受給開始から平均寿命を考えると、男性は約15年、女性は約20年の老後生活があると言われています。
老後の生活費(2人の世帯で60歳〜70歳) | |
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食料 | 7万1,231円 |
住居 | 1万8,188円 |
光熱・水道 | 2万3,874円 |
家具・家事用品 | 1万1,411円 |
被服及び履物 | 1万993円 |
保健医療 | 1万4,657円 |
交通・通信 | 4万766円 |
教育 | 1,581円 |
教養娯楽 | 2万9,871円 |
その他 | 6万9,275円 |
合計 | 29万1,847円 |
こうして考えると公的年金だけでは足りないことがわかります。
もちろん、食費や娯楽などを抑えれば平均額は下がります。
老後生活に必要な資金はざっと1,700万円
先ほどの老後生活の支出と収入をみると、支出の方が収入を上回っています。
貯蓄などを切り崩して生活していかないと厳しいことがわかります。
では、65歳の公的年金受給開始以降に必要になる生活資金を試算してみましょう。65歳以降のセカンドライフを男女の平均寿命から考えて、おおまかに20年とすると
老後に必要な生活資金
(支出額29万1,847円-収入額22万1,507円)×12か月×20年=1,688万1,600円
つまり、約1,700万円の資金を65歳の公的年金受給開始時に準備しておくことが必要になります。
ゆとりある老後の生活費用は月35.4万円

生活保険文化センターの調査によると、ゆとりある老後のために必要な生活費は約35万円とのことです。
ゆとりのための金額の使い道は「旅行・レジャー」がもっとも高いのが特徴です。そのあとに「趣味・教養」「日常生活費の充実」の順に高くなりました。
- 旅行・レジャー …60.3%
- 趣味・教養 …50.1%
- 日常生活費の充実 …49.4%
- 身内のつきあい …46.7%
- 耐久消費財の買い替え…23.7%
- 子どもや孫の資金援助…19.8%
- 隣人・友人のつきあい…15.0%
- 貯蓄 …3.3%
- その他 …0.5%
- わからない …0.5%
詳しくはこちらに記載されています。
ゆとりある老後生活に必要な資金はざっと3,200万円
定年後の老後生活を男女の平均寿命から考えて、大まかに20年とした場合
老後に必要な生活資金
(支出額35万4,000円-収入額22万1,507円)×12か月×20年=3,179万8,320円
となります。
約3,200万円の資金を65歳の公的年金受給開始時に準備しておくことが必要になります。
これらの試算はあくまで目安であり、再就職後の有無や入院介護の有無によっても変動します。
年金以外の収入がなくなった際に、年金だけでは補えない分を指しています。では、この3,000万円という金額はどうやって導き出されているのか、その根拠についてご紹介します。
総務省の家計調査報告によると、高齢無職世帯の公的年金などの社会保障給付は、1カ月におよそ19万円です。月々の支出はおよそ27万円であるため、不足分は月々8万円程度となります。
年間で考えると、8万円×12カ月で96万円となります。つまり、老後期間が20年で1,920万円、25年で2,400万円となり、これに家のリフォームや自動車購入、医療など加えると老後資金は3,000万円程度が目安であると考えられます。
ただし、この3,000万円という金額は60歳で定年を迎えることを想定した数字です。
現在の定年は原則65歳です。勿論その後も長く働くこともあり得ます。定年が遅くなればそれだけ無職期間も短くなるため、必要な老後資金も少なくて済むことが考えられます。
このように、老後資金は本人の定年前の給与額や貯金、定年の年齢、寿命などによって変わるため、3,000万円はあくまでも目安だといえます。
ただし、政府は老後の生活費として2500万円を設定しているため約1000万近く高い計算なので、ゆとりがありすぎる老後生活を満喫したい場合は参考にしてみてください。
生涯現役で資金を貯めよう

なるべく老後の為に貯蓄をするのは良いことですが、働けるうちは定年後も働きましょう。働くことで体力の衰えも遅くなり、老後に必要な資金の額も少なくなります。
3,000万円という数字を考えた場合、一般的な家庭であれば難しい金額です。ですので今のうちから貯金をしつつ「生涯現役」のつもりで老後を考えていきましょう。
記事内の情報は2019/10/13時点のものです。
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