制度が異なる中国ではインターネットも規制されており、GoogleやFacebookなど、日本で普通に使えるサイトにはアクセスできないようになっています。また、通信会社の最大手China Mobileは通信規格が日本と異なるなど、中国向けのsimを選ぶ際にはいくつか気をつけなければいけない点があります。
制約の多い中国で快適にスマホを使うためのsim選びをご紹介します。
目次
中国に行く際のsim選びの注意点

そもそもsimとは
スマホは基地局と電波をやりとりして通信します。基地局は通信事業者それぞれが設置しているものであり、契約を結んでいる通信事業者の回線に接続するとスマホが使えるようになります。
その際に、どの通信事業者と接続するか、電話番号、その回線を使ってどのサービスを受けられるか、などを決めているのがsimの役割です。
simについてはこちらの記事もご覧ください。
なぜsimが必要なの?
通常は契約した通信会社の回線に接続して通信を行いますが、ローミングという他社の回線に接続する機能を使えば海外でも利用できます。しかし、他社の回線を借り受ける形のローミングは通信料金が高いのが難点です。
Wi-Fiは通信会社の回線を使わない通信なので、Wi-Fiスポットを探すか、海外の通信回線に接続するWi-Fiルータを持ち歩くことで海外でもデータ通信のみ行うことができます。しかし、通話ができないこととWi-Fiルータを持ち歩く煩雑さがあるので、simを付け替えて海外の通信会社に接続するほうがメリットが大きいと言えます。
中国で使うsimの選び方
中国で使えるsimは通信規格に対応するスマホの機種かどうかと、中国政府のファイアーウォールを回避できるかを見極める必要があります。
1.対応国
中国の通信会社はChina Mobile(中国移動)、China Unicom(中国联通)、China Telecom(中国電信)があり、いずれかに接続できるsimを利用することになります。
中国は政府によるインターネット規制がありGoogle系のサイトにはアクセスできません。国内通販サイトで販売されている中国向けsimは、香港を経由する仕組みで中国の通信会社の回線に接続するものがほとんどで、中国のファイアーウォールを気にせずに使うことができます。
2.用途、料金
短期間の滞在では使用可能日数が決まっているプリペイド方式を利用するのが一般的です。データ通信のみのものと通話ができるものがあり、容量や通話できる時間が決まっています。
数百円から入手できるものがあり30日間のものでも5,000円を切る価格で購入できます。
SMS、テザリングが出来るかどうかはsimカードによって異なります。
3.対応機種
日本国内で買える中国向けsimは、China UnicomとChina Mobileに接続するものがほとんどです。
China UnicomはW-CDMA方式(3G)というドコモとソフトバンクが採用している通信規格のため、国内で販売されているスマホの多くが対応しています。
China Mobileは中国独自の規格を採用しているため、日本のスマホは対応していないものが多いようです。China Mobileに接続するsimの場合は対応機種を詳しく調べてみたほうがいいでしょう。
4.購入場所
中国では空港のほか、コンビニでもプリペイドsimが売られており、海外からの渡航者も現地で調達する人が少なくないようです。
しかし、対応機種かどうか、ファイアーウォール越しに使えるものかどうかを現地で判断できる人以外は、国内の通販サイトであらかじめ入手しておくほうが確実です。
2019年最新!中国対応sim4社を表で比較

下で紹介する各社のsimを横並びで比較した表です。
中国联通香港 | どこでもネット | CMLink | DHA SIM | |
---|---|---|---|---|
対応国数 |
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有効期限 | 7~30日 | 8~15日 | 3~7日 | 3~8日 |
初期費用 | 日数による | 日数による | 日数による | 日数による |
利用料金 | 安め | 普通 | 安め | 安め |
機能 |
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購入場所 |
国内通販サイト |
国内通販サイト | 国内通販サイト | 国内通販サイト |
おすすめの中国対応sim4社を詳しく解説

国内通販サイトで売られている、使いやすいsimを4社選んでご紹介します。
1.はじめての中国なら「中国联通香港」

対応国
中国本土、香港、マカオ、台湾で利用できますが、カードにより対応地域が異なるため、渡航先に対応しているか確認が必要です。
China Unicom(中国联通)に接続し、香港経由でローミングするため中国政府のネット検閲を回避してインターネットに接続できます。Google、Facebook、twitter等を利用できます。
機能・有効期限
データ通信専用のsimです。使用可能日数によって価格が異なります。通信容量が2G・3Gを超えると、通信速度が低速になり、テザリングが使えなくなるので、実質的には通信容量の使い切りと考えたほうがいいでしょう。カードによって最終開通期限が設定されているものもあるので注意が必要です。
購入・初期費用
プリペイド方式で使用可能日数によって価格が異なります。日数を超えて利用したい場合にはクレジットカードから入金してチャージすることも可能です。
通話などの利用料金
価格 | 日数 | 対応エリア | その他 |
---|---|---|---|
940円 | 7日 | 中国本土31省、香港 | 通信容量2Gで通信停止 |
990円 | 8日 | 中国本土31省、香港 | 通信容量2G超で通信速度128kbps |
1,390円 | 15日 | 中国広東省、香港、マカオ | 通信容量2G超で通信速度128kbps |
1,430円 | 30日 | 中国全省、香港、マカオ、台湾 | 通信容量3G超で通信速度128kbps |
価格はAmazonの2019年9月19日時点の価格
データ通信のみでOK&簡単につなげたい人におすすめ!
接続先となるChina Unicomは日本のドコモ、ソフトバンクが使っている通信規格と周波数を使っていることから、国内で使われるスマホで最もスムーズに接続できるキャリアです。
データ通信のみですが、LINEやWeChatなどのメッセンジャーアプリをメインで使うのであれば、音声通話ができなくても問題ないでしょう。
チャージすることも可能ですが、使い切りのほうが安上がりなので、複数枚のセットでも販売されています。
2.スマホに詳しい人向けの「どこでもネット」

対応国
中国本土、香港、マカオ(1部を除く)で使えます。
China UnicomとChina Mobileに接続するものに分かれています。China Mobileに接続するものは自分のスマホに対応しているかどうか詳しく調べたほうがいいでしょう。
どちらも中国政府のファイアウォールを回避して、Googleなどを普通に使えます。
機能・有効期限
データ通信専用のものと時間制限のある通話が付いたものがあり、通話付きのものはデータ通信の容量に制限がありません。データ通信専用のsimは使用可能日数によって通信容量が限られており、制限を超えると速度が低下します。
テザリングは可能な端末が限られるようです。
購入・初期費用
プリペイドsimなので日数、通信容量、通話の有無によって価格が異なります。
通話などの利用料金
価格 | キャリア | 通信規格 | 日数 | エリア | 内容 |
---|---|---|---|---|---|
1,399円 |
China Unicom |
FDD-LTE Band-3 TDD-LTE Band-41
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8日 |
中国本土 香港 マカオ
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|
1,600円 |
China Unicom |
FDD-LTE Band-3 TDD-LTE Band-41
|
15日 |
中国本土 香港 マカオ
|
|
1,800円 |
China Unicom |
FDD-LTE Band-3 TDD-LTE Band-41
|
30日 |
中国本土 香港 マカオ
|
|
1,980円 |
China Unicom |
FDD-LTE TDD-LTE Band3/40 |
5日 |
中国本土 香港 |
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2,250円 | China Mobile | TDD-LTE Band38/39/40/41 | 9日 |
中国本土 香港 マカオ |
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3,980円 | China Mobile | TDD-LTE Band38/39/40/41 | 15日 |
中国本土 香港 マカオ |
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価格はAmazonの2019年9月19日時点の価格
モバイルやネットの知識がある人におすすめ!
レンタルWi-Fiの「どこでもネット」が販売する海外simです。低価格のものはデータ通信のみ、1,980円以上のものには時間制限はありますが、通話が可能になっています。短期の旅行で通話を想定していなくても、通話ができれば何かあった時に安心できます。また、中国本土に限られますが通信容量に制限がないものもあるので、データ量を気にせずに使えます。
使える端末を選ぶので、スマホやネットに詳しい人におすすめです。
3.データ通信&香港・マカオだけなら「CMLink」

対応国
China Mobileが2018年に設立したグローバルsimブランドで、世界各国で使えるsimを販売しています。
香港とマカオで使用可能なデータ通信専用simです。中国のファイアーウォールを回避できます。
機能・有効期限
アクティベーションから0:00区切りで日数がカウントされます。1日当たりの通信容量上限が2Gと十分にあるので、ほとんど不足することはないでしょう。
テザリングは可能ですが、タブレットやWi-Fiルータに使うことはできません。
カードごとにアクティベート有効期限が設定されているので確認が必要です。
購入・初期費用
プリペイド方式のsimカードで日数により価格が異なります。3~7日と短期滞在向けです。
通話などの利用料金
価格 | 日数 |
---|---|
439円 | 3日(72時間) |
515円 | 5日(120時間) |
530円 | 7日(168時間) |
価格はAmazonの2019年9月19日時点の価格
香港・マカオへの観光旅行におすすめ!
香港・マカオへの数日の観光旅行に適しています。短期の観光で渡航先の国内通話をする場面はほとんどないので、データ通信のみでもこと足ります。 1日あたり2Gと通信容量は十分ながら価格も数百円なので気軽に使えます。
CMLinkは日本国内で使えるsimも販売しており、日本語サイトを設けています。サポートページもあるので、対応機種等を問い合わせてみるのが確実です。
4.データ容量に余裕があり通話もできる「DHA SIM」

対応国
中国、香港で使えます。 China Unicomに接続するので、対応機種に不安は少ないと考えていいでしょう。中国のファイアーウォールも回避して使うことができます。
機能・有効期限
日数と通信容量によるるりペイド方式です。それぞれの容量ごとに最初の数GB分のテザリングが可能です。通信容量を使い切ると通信速度が128kbpsに低下しますが、 通信容量は十分なので余裕を持って使うことができます。
中国国内の発着信の無料通話が可能ですが日数ごとに通話できる時間が異なります。SMSは利用できません。
購入・初期費用
プリペイド方式の使い切りで、チャージして使うことはできません。
通話などの利用料金
価格 | 日数 | 通信容量 | 内容 |
---|---|---|---|
1,280円 | 3日 | 20GB |
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1,480円 | 5日 | 30GB |
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1,780円 | 8日 | 40GB |
|
価格はAmazonの2019年9月19日時点の価格
幅広く使えるsimなので多くの人におすすめ!
データ通信の容量が1日あたり5~6GBと十分なので、足りなくなることはほとんどないでしょう。時間制限はありますが、無料通話が付いているのは大きなメリットです。
China Unicomを使うので日本国内のスマホに幅広く対応しますが、日本語マニュアルとメールによるサポートがあるので安心できます。
海外で使うsimについてはこちらの記事もご覧ください。
この記事の情報は2019/09/19時点のものです。
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