働いていると、「プロパー社員」という言葉を耳にするシーンがあります。
しかし、どういう意味か分からず、かといって周りに聞くこともできず、困るのは恥ずかしいものです。
今回は「プロパー社員」の意味やプロパー社員の特徴について解説します。
目次
「プロパー」という言葉の意味

そもそも「プロパー(proper)」という単語には、「適切な」「正しい」「本来の」「妥当な」といった意味があります。
偽物や似たものではなく、まさに本物を指し示す際に使われる単語です。
プロパーの意味がわかると、「プロパー社員」という言葉の意味にグンと近づけます。
「プロパー社員」という言葉の知られざる3つの意味

では、「プロパー社員」とはどのような社員を指すのでしょうか。
実は、大きく分けて3つの意味があり、企業やシーンにより使われ方が異なります。
それぞれの意味の違いを見ていきましょう。
新卒入社の社員
「プロパー社員」の1つめの意味は、新卒で入社した社員です。
いわゆる”生え抜き”タイプの社員のことを言い、転職によって中途採用された社員と区別する際に使われます。
なお、「新卒入社」と聞くと「新人」というイメージを感じるかもしれませんが、新人社員というわけではありません。
新卒時代からずっと同じ会社に勤め続け、社風を理解しながらキャリアを積んでいる社員のことです。
派遣社員や契約社員ではない社員
「プロパー社員」の2つめの意味は、正社員です。
派遣社員や契約社員のような非正規で雇われている社員とは異なり、会社に正規雇用された社員であることを示します。
この意味で「プロパー社員」という言葉を使うときは、中途採用された社員も含みます。
非正規の社員に比べて勤務時間が長かったり、行える業務内容の幅が広かったりするのが特徴です。
その分、仕事に対する責任も重くなります。
自社の社員
「プロパー社員」の3つめの意味は、その会社の社員です。
協力会社や下請け会社など、外部の社員と区別する際に使われます。
つまり、非正規雇用の社員であっても、会社から直接雇われている人は「プロパー社員」の一員という扱いになります。
この意味における「プロパー社員」と他の社員との一番の違いは、給料の出どころです。
プロパー社員の特徴

プロパー社員の意味がわかったところで、続いてはプロパー社員に見られる傾向を見ていきましょう。
メリットとデメリットに分けて解説します。
プロパー社員のメリット
自社内のつながりや団結力が強い
特に新卒入社タイプの「プロパー社員」は、長年同じ職場に勤め続けている場合が多いです。
そのため、愛社精神があり、社内での強固な人間関係が出来上がっています。
社内のつながりや仲間意識が強く、チームワークの取れた業務を行うことができるのです。
1つの目標に向かって、みんなでいいものを作っていこうとする姿勢がみられる傾向があります。
大切な人材として、会社側からも重宝されるでしょう。
昇給・昇進しやすい
年功序列の会社なら、プロパー社員は勤続年数に応じて昇給や昇進が行われます。
プロパー社員は会社にとって、会社の理念を理解して会社の将来のために貢献してくれる社員なので、相当の評価をします。
つまり、長く勤めているプロパー社員はどんどん高給取りになり、役職も上がっていくのです。
仕事に対する責任感も重くなりますが、待遇が上がれば社員側もさらに仕事に対する熱意が出ます。
プロパー社員のデメリット
仕事の幅や視野が狭い
プロパー社員は同じ会社で経験を積んで能力を培っている分、自分の業務内容に特化した分野には強いです。
しかし、それ以外のことには融通が利きにくいという傾向があります。
万が一会社が倒産したり、経営者が変わって方針が一転したりした場合、できることが限られているプロパー社員は対応が困難になる可能性があります。
そのため、中途採用の社員や外部社員などプロパー社員ではない社員から能力が低いとみなされることも考えられます。
プロパー社員という立場に甘んじるのではなく、視野を広げ、多角的な目線から業務を行うことが求められます。
人間関係が閉鎖的である
プロパー社員のメリットの部分で「自社内のつながりや団結力が強い」ことを挙げました。
業務を行ううえで、チームワークや他部署との連携は非常に重要なものです。
しかし、内部での連帯感が強い一方で、排他的になりがちなのがデメリットです。
プロパー社員同士でのみ親しくし、他の社員とはコミュニケーションを避けたり、仕事上でもトラブルが起こりやすかったりすることがありえます。
社員数が多いとか支社をたくさん持つ大きな会社などの場合、同じプロパー社員という立場でも、部署やフロアが同じ人同士でのみ固まるという状況も見られます。
わざわざ取りつくろって親しくする必要はありません。
ただ、同じ会社で仕事をするにあたって、最低限のコミュニケーションや助け合いをすることは、社会人としての常識と言えるでしょう。
プロパー社員と他の社員との摩擦

プロパー社員と他の社員の間では、軋轢・ギャップが生じやすい傾向があります。
「プロパー社員」の3つの意味別に具体例を見ていきましょう。
新卒入社したプロパー社員の場合は、中途採用の社員との関係が上手くいかないことがあります。
プロパー社員のほうが勤続年数が長いというだけで、実力に見合わない高額な給料をもらっていたり、中途採用社員への態度が悪かったりすることがあるためです。
生え抜きのプロパー社員は、中途採用の社員よりも勤続年数が短いというアドバンテージがあります。
しかし、その立場におごらず、謙虚な姿勢で業務に取り組むことが必要です。
また、正社員という意味でのプロパー社員は、同じような業務内容でも非正規雇用社員との待遇が違うため、妬まれることが考えられます。
プロパー社員が非正規雇用社員に対して偉そうにしたり、非正規社員のほうが出来が良かったりすることがあるためです。
待遇面の差異は、プロパー社員側ではなく会社に問題があります。
しかし、会社に評価されているからと言って、プロパー社員のほうが偉いとか立場が上というわけではありません。
プロパー社員であっても非正規雇用社員であっても、同じ社内で働いているという意味では対等です。
お互いに円滑なコミュニケーションを取ろうとする姿勢が求められます。
自社社員の意味でのプロパー社員は、外部社員の方針と衝突が生じるおそれがあります。
それぞれの社風や方向性が異なるため、トラブルを避けるにはすり合わせが必要です。
双方が主張し合うだけでなく、折衷案を提案して取り入れるなど、業務に支障をきたさないようお互いの意見を尊重することが大切です。
プロパー社員と他の社員との関係性が問われる

「プロパー社員」という言葉が持つ3つの意味と、それぞれの意味におけるプロパー社員の特徴や問題についてお伝えしました。
ご覧いただいたとおり、プロパー社員と他の雇用形態の社員の間には摩擦が生じやすく、関係性が課題となっています。
不要なトラブルを避けるためには、役職つきなど立場のある人が、社内やプロジェクト内での場の空気を改善するよう努めることが求められます。
また、会社側としては、プロパー社員ばかりを高評価・好待遇にするのではなく、能力に応じた昇給や昇進の機会を用意する必要があります。
プロパー社員と他の社員とを分け隔てなく扱い、すべての従業員が働きやすい環境づくりを目指すことが大切です。
記事内の情報は2019/09/24時点のものです。
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